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2011/02/27

建国物語 - [書評] - フェイスブック 若き天才の野望

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
デビッド・カークパトリック
日経BP社
売り上げランキング: 34

映画「ソーシャル・ネットワーク」が思いのほか面白かったので購入し、思いのほか分厚かったので積ん読状態となっていた本書だがようやく読み終えた。

ネットや友人の評価によると原作よりもこちらの方が面白いらしい。
私としても表紙の写真やサブタイトルもサブタイトルが原作よりも好みだったのでこちらを選んだ。

本書は言わずもがな、Facebookの創業物語だ。

ゴールドマン・サックスが時価総額500億の評価をした、だとか
先日の春のBAN祭りであるとか
良くも悪くも今年のWebの話題をさらい、まさに絶頂のフェイスブックだが、本書はまるでいにしえの英雄の物語を読むような錯覚に襲われる。

建国の英雄の物語。
新しくできた国はFacebook、英雄の名前はマーク・ザッカーバーグ。

通常の伝記と異なるのは建国の日が2004年2月4日であることだ。
たったの7年前。
私たちと同じ時代の物語だということが、読み進めるうちに否が応でも、読者の興奮を高める。
ドッグイヤーと呼ばれるシリコンバレーの時間の流れも擬似的ではあるが体験できる。

目次はこうだ。
第1章 すべての始まり
第2章 パロアルト
第3章 フェイスブック以前
第4章 2004年、秋
第5章 投資家
第6章 本物の企業へ
第7章 2005年、秋
第8章 CEOの試練
第9章 2006年
第10章 プライバシー
第11章 プラットフォーム
第12章 150億ドル
第13章 金を稼ぐ
第14章 フェイスブックと世界
第15章 世界の仕組みを変える
第16章 フェイスブックの進化
第17章 未来へ
本書では、というかFacebookの創業者たちは、よくFacebookをひとつの国に例える、が、Facebookに限らずWebアプリケーションというものは多かれ少なかれ国のあり方に似ているところがある。

やや乱暴だが、王様は開発者、民はユーザだ。

王様は法律を作る。法律とはつまりは仕組みだ。
民は王様が作った仕組みのなかで日々活動する。
王様は民が喜ぶであろう仕組み・国が発展するであろう仕組み -たとえば「いいね」ボタンなど- は目立つところに配置し、都合の悪い仕組み -たとえば退会ボタンなど- は目立たぬ所に配置することで民の活動を活性化させ、国の発展を図る。この仕組みが複雑であったり、意図が民に上手く伝わらなかったりすると、民の不満は溜まっていく。レスポンス速度が遅いなど民が活動することにストレスを覚える場合にも民の不満は溜まっていく。民の不満が蓄積し国の魅力がなくなれば、民は去り、国は滅亡する。


マーク・ザッカーバーグは王様だ。
後年はCEOとしての振る舞いも身につけていくが、立ち上げ当初はNapStarの創業者であるショーン・パーカーなど、周囲を支えるタレント達が、資金調達やマネタイズの部分を埋めていく。

マークはただひたすらに、WebアプリケーションとしてのFacebookの法律を作っていく。
そして最終的な到達地点、つまりWebアプリケーション"Facebook"のビジョンを示し続ける。
優れたビジョンを提示するのは優れた王様の必要条件だ。
マークのビジョンを理解できない者は振り落とされていくし
賛同できないものは去っていく。
Facebookはマークを中心に回っていく。

いま話題のFacebookの実名主義。
これも彼の理想とするWebの世界に必要不可欠なものだ。

本書では彼の理想とするWeb像が全編に散りばめられている。
その一部、特に実名主義に関する部分を紹介しよう。
2種類のアイデンティティをもつことは、不誠実さの見本だ
現代社会の透明性は、ひとりがふたつのアイデンティティを持つことを許さない
なんというか、私自身、やや賛同しかねる、なんとも潔癖な意見だ。

しかし反対するのは容易くビジョンを示すのは難しい。
結局ビジョンを示せない者は、先ゆく天才の足を引っ張るか、もしくは天才の起こした流れに身を委ねるしかないのだ。

実名主義に限らず、どうもFacebookについての脊髄反射的なリアクションが多いように思う。(もちろんそうでないものも多い)

一度腰を落ち着けて、自分の理想とするWeb、理想とする世界を考えてみるのも悪くない時間の使い方ではないだろうか。
自分自身の理想が描けない者に、天才マーク・ザッカーバーグの思い描く未来を想像することなどできやしないのだから。

P.S.
第11章 プラットフォームではマーク、そしてFacebookの素晴らしいサードパーティへの考え方が示されている。
スピード感もあり、読み応えのある、繰り返し読みたいオススメの章だ。

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
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2011/02/24

生活臭が明日への活力になる - [書評] - 東京トイボックス/大東京トイボックス


いまイチオシの漫画『東京トイボックス』と『大東京トイボックス』。

東京トイボックス』は全2巻で完結。
その続編の『大東京トイボックス』で現在も連載中だ。

漫画と侮るなかれ。
日々仕事に勤しむ社会人の方々に手にとってもらいたい、そんな漫画だ。

この漫画は登場人物たちの毎日の仕事を描いている。
そしてこの漫画の登場人物にスーパーな人間はいない。平凡な人間たちなのだ。

主人公はパチスロムービーで食いつなぐ中小ゲーム開発会社のディレクター。
その会社にはプログラマチームとグラフィックチームとがあり、パブリッシャーと呼ばれる会社の人間がもってくる案件を日々こなしている。

その描写があまりに生々しいのでググってみたが、どうやらかなり実態に近い描写のようだ。

このリアリティがたまらない。
登場人物は、それぞれの立場でそれぞれが考え、動き、仕事を進めていく。

妥協もする。

それゆえ理想と現実、そのギャップに苦しむ。
なぜ作りたいものが作れない。
同人はルーズだと言われないよう納期は必ず守った。
きちんと利益もだしてきた。
なのになぜだ。

これは主人公の会社と共同開発することになった同人あがりのやり手女社長の独白だ。
彼女はこの独白の数時間前に社員にこう告げている。
我々の目的はこのタイトルで力をつけデベロップだけでなくパブリッシュもできるゲーム会社になることだ。
そして同人だ商業だというくだらない垣根を取っ払い、面白いものは面白いというシンプルなルールが通用するシステムを作る。

明日12時に削除に伴う各種作業を指示する。
本日は全員定時退社。明日以降に備えてくれ。

安心しろ

こんな程度の修正でつまらなくなるほどウチのゲームは脆弱じゃない。
実に堂々とリーダとして部下たちを激励している。
この気丈な彼女もまた、理想と現実のギャップに苦しんでいるひとりなのだ。


これほどまでに彼女を打ちのめす修正とはいったいなんなのか。
これこそが『大東京トイボックス』の主題のひとつなのだが、この主題は読み進めるうちに明らかになってくるものであり、この漫画の大きな楽しみでもあるので、ここでは明記せずにそれを暗喩する詩のみを最後に載せておく。

余談だが、作中にiPhone, Twitterが登場したのは私の知る限りこの漫画が最初だ。
最近はどの漫画のキャラクタもiPhoneを使っていてやや辟易しているのだが、いちiPhone, Twitterフリークとして当時はやはり嬉しかった。
作者のうめさんご自身も @ume_nanminchamp というアカウントでTwitterをされていて、Web上でも積極的に活動されている。
ちなみに作中に登場するタイムラインのアカウントは、うめさんご自身がTwitter上でアイコンを使用させてくれる方を募集し、使用許可を得た実在するアカウントだ。

余談が長くなった。
いろいろ書いたが絵も綺麗でテンポもいい、
いまイチオシの漫画なのでぜひ手にとって読んでもらいたい。

作・マルティン・ニーメラー

彼らが最初共産主義者を攻撃したとき

私は声をあげなかった

私は共産主義者ではなかったから


彼らが労働組合員たちを攻撃したとき

私は声をあげなかった

私は労働組合員ではなかったから


彼らがユダヤ人たちを連れて行ったとき

私は声をあげなかった

私はユダヤ人などではなかったから


彼らはついに教会を攻撃した

私は牧師だったから行動した

しかしそれは遅すぎた


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2011/02/20

人生は有限です。あなたは掃除は好きですか? - [生活] - 自動掃除機ルンバ


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前のブログにも書いたのだが、あまりにも素晴らしいのでこちらのブログでも再エントリする。

前のブログの記事はこちらだ。

 掃除機界のアイドル『お嫁ルンバ』を買っちゃいました。


上記のエントリを要約すると
  • ルンバはタイマー設定が可能
  • ルンバがあると床にモノを置かなくなる
  • ルンバは自分で充電基地に戻るので手間いらず
  • ルンバはたまに充電基地に戻りきれずお亡くなりになる。そんなルンバがかわいい

この思いは半年以上ルンバを使い続けた今も変わらない。むしろ強まっている。
床のルンバが通る場所にコード類が見えていることもない。
ルンバのためにコードカバーで隠しているからだ。
見苦しいコード類が視界から隠れ、毎日とても気分がいい。

私はこのコードカバーを使っている。
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しかし、一番嬉しいのはなんといっても掃除というルーチンワークから解放されたことだ。

人生は短い。

私はその短い人生を、映画を観たり、読書をしたり、美味しいものを食べたり、プログラミングをしたり、旅行に出かけたり、そういったことに使いたい。

食器洗いや洗濯は極力したくないし、満員電車にも乗りたくない。
なにかを買うのに並ぶのもイヤだし、重い荷物を持ち運ぶのも嫌いだ。

ルンバは私を掃除から解放してくれた。
これまで掃除をしていた時間を使って、私は映画を観れるし、読書ができる。

ルンバを買った友人はまだまだ少ないが、彼らは口を揃えて2010年の一番の買い物はルンバだったと言う。
おそらく同じ思いなのだろう。

2011年はどんなプロダクトが私を人生の無駄から解放してくれるのだろうか。
ルンバに出会うまでは、このようなことは考えたりしなかった。

またひとつ人生の楽しみが増えたようだ。


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2011/02/19

Webで英語の勉強 毎日コツコツやりたい人に最適 - [英語] - Qwiki

Qwiki 』というサイトがある。
昨年TechCrunch Disruptで最優秀賞を受賞したビデオ検索エンジンだ。

このサイトのコンテンツがコツコツ型英語学習にとてもに適している。

使い方はとても簡単だ。

アカウント登録をすると、1日1回下のようなメールが送信されてくる。

メール中の「WATCH NOW」をクリックすると、このような画面に飛ぶ。

すると下のような動画が英語字幕付きで再生される。
再生された動画で使用された字幕と写真は、「CONTENTS」タブをクリックすると確認できる。
ややわかりにくいが「CONTENTS」タブは上の画面の赤四角で囲った部分に表示される。
コンテンツ量はとても少ない。



キモは1日1回新コンテンツが追加され、メールで通知してくれるところだ。

下記のフローをだいたい5〜20分で完了できる。
  1. メールを確認
  2. 「WATCH NOW」をクリックし動画を観る。
  3. 分からなかった単語をググる。
  4. 必要であればEvernote等にメモを残す。

私はコツコツは苦手だが続いている。(3, 4 はよく飛ばしているが・・)
継続しやすい英語学習法のひとつとしてどうだろうか。

この勉強法を実施して単語力の必要性を感じた方は、『 eWords 』を利用してみてほしい。
CNNニュースで使われた単語を出現回数順にソートしたシンプルなiPhone向けの英単語学習サイトだ。
詳しい紹介記事はこちら


今日紹介したサイト

Qwiki



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2011/02/12

知ることに貪欲であれ - [書評] - EVERNOTE情報整理術

本書はEVERNOTEのHowTo本だ。
だがその根底には2つの隠れテーマがある。
ひとつは仕事の効率化。

そしてもうひとつがタイトルにもある「知ることに貪欲であれ」というテーマだ。

本書の章立てはこのようになっている。
Chapter1 Evernote情報整理のススメ
 1-1 記憶するノート“Evernote”に人生を詰め込もう!
 1-2 Evernoteでできること
 1-3 Evernoteを中心とした情報整理システムを構築しよう
 COLUMN プラスの感情を想起して負のスパイラルから抜け出そう

Chapter2 全方位からEvernoteに情報を収集しよう
 2-1 インプット情報の源泉を見つけ,流れを作る術を身に付けよう
 2-2 PCから情報をインプットする
 2-3 ケータイ/スマートフォンから写真,音声,テキスト情報をインプットする
 2-4 メールから情報をインプットする
 2-5 Evernote連携アプリ,機器,Webサービスから情報をインプットする
 2-6 ケータイカメラはどんな物でも取り込める万能スキャナー
 2-7 ScanSnapとEye-Fiで触れた情報を丸ごと記録する
 2-8 iPhone/Androidアプリで睡眠,食事,体重などのライフログを取得する
 2-9 ライフログをTwitter経由でEvernoteに取り込む
 2-10 スマートフォンで高速にメモを取る3つの方法
 COLUMN 最強の入力方式“フリック入力”

Chapter3 Evernoteを駆使して縦横無尽に情報を整理しよう
 3-1 インプット情報はGTDで効率よく捌く
 3-2 Evernoteの情報整理をGTDのフェーズで定義する
 3-3 ノートブックとタグを駆使して情報を立体的に整理する
 3-4 [ノートブックの分け方①]ペルソナごとに分類する
 3-5 [ノートブックの分け方②]情報の段階ごとに分類する
 3-6 [タグの分け方①]5W1Hでタグ付けする
 3-7 [タグの分け方②]感情をタグ付けする
 3-8 [タグの分け方③]プロジェクト単位でタグ付けする
 3-9 タグと属性を組み合わせて情報を一気に絞り込む
 3-10 検索で縦横無尽に情報を引き出す
 3-11 検索範囲を自由自在にコントロールする
 COLUMN 歴史とエピソード記憶

Chapter4 Evernoteに集めた情報を活用してビジネスを加速させよう
 4-1 人をキーにして個人情報と活動を連動させた人脈データベースを構築する
 4-2 一度調べた情報を再利用する
 4-3 重要書類を取り込んで“いざ”というときに備える
 4-4 読書経験を記憶する
 4-5 カラーバス効果で思いもよらない発見ができる
 4-6 過去に撮り貯めた写真メモから自分の興味関心が浮かび上がる
 4-7 ポートフォリオを作成して未来の自分の糧とする
 4-8 目標,ミッションノートブックを作成し日々振り返る
 4-9 癒しややる気の源となるオアシスノートを作成する
 4-10 お気に入りのお店データベースをジオタグ付きで作成する
 4-11 勉強の振り返りやまとめにEvernoteを活用する
 4-12 iPadとiPhoneで会議後のアウトプットを劇的に高める
 COLUMN 企業のセキュリティとクラウドサービス[その1]

Chapter5 自分なりのEvernote情報整理術を作り出そう
 5-1 Evernoteを中心とした情報整理の「しくみ」と「運用フロー」を設計する
 5-2 Webページ,RSS,TwitterをEvernoteに取り込む
 5-3 ブログやTwitterなどのアウトプット情報を?すべてEvernoteに流し込む
 5-4 情報を取り込むと同時に整理もする
 5-5 EvernoteとFlickrを完全連動させる
 5-6 手書きメモ/ノートとの連動
 5-7 振り返りを行ってノートの位置を脳に覚えさせる
 5-8 フォルダインポート機能を使ってアウトプットの自動循環システムを構築する
 COLUMN 企業のセキュリティとクラウドサービス[その2]

Chapter6 Evernote達人インタビュー
 CASE01 五藤隆介さん
 CASE02 倉下忠憲さん
 CASE03 佐々木正悟さん
 CASE04 大橋悦夫さん

「知ることに貪欲であれ」というテーマは見事に隠れてしまっている。

だが、著者はなぜ日々の体験をEVERNOTEに貯めこむのか。
そこを考えながら読むと本書の様相は一変する。
「成長させたいタグ」を決めることで、意識的に興味関心をそちらに向けるという、カラーバス効果を得ることができるのです。

カラーパス効果とは「今日は赤色に注意(注目)しよう」と決めて1日を過ごすと、いつもより赤色の物が目に入ってくる(意識に残るようになる)現象のことだ。
※太字部分は本書より引用

著者はこの効果をEVERNOTEを使うことで得ることができるという。

楽天が英語公用語化を宣言したときを思い出して欲しい。
あの頃、はてブのホットエントリやTwitterのタイムライン、2chに所狭しと英語公用化についての賛否両論が踊っていた。

これが会計の話だったら、あそこまで盛り上がっただろうか。
物理や化学の最新トピックが、あそこまで盛り上がるだろうか。

なぜ楽天の英語公用語化の話が盛り上がったかといえば、それは英語が義務教育だからだ。
英語に興味をもつ人の数が圧倒的に多いからだ。

人は興味のない情報には無意識にフィルタをかける。
無意識ゆえにひとはそれを意識しない。
そして無意識ゆえにそれは変えられない。

だからこそ著者は日々を記録し、それを可視化する。
可視化して自分の興味を意識化に持ってくるで自分の興味を広げていく。

著者は写真もすべてEVERNOTEに放り込む。
そして読者にこう語りかける。
写真メモを取り貯めるという行為は、興味関心を可視化していくことだと言えます。自分自身が何に興味を持ち、自分の行動はどういう偏りをみせているかをぜひ、日々撮りためる写真を並べ置き、ゆっくりと分析を行ってみてください。

だけど、そんなに時間はかけられないよね。
だからこれまで培ったノウハウを分けてあげるよ、と。

著者の好意に甘えてみようと思う。
明日から私の世界は広がるかもしれない。

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2011/02/08

過去に読んだ本を読み返す - [書評] - 新卒はツラいよ!

新卒はツラいよ!
新卒はツラいよ!
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きたみ りゅうじ
幻冬舎
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本書は2005年9月に刊行された本である。
本編の大部分が漫画、それに少しのコラムという読みやすい構成であったため
当時入社2年目だった私は繰り返し読んでいた記憶がある。

その本書を久しぶりに読み返してみた。
目次はこうだ。
0年目
 気がつけば不況だった
 小さな小さな第一歩
 考えればコトは易し

1年目
 配属と落胆と現実と
 社長室付けになる
 イベント企画室との攻防
 とべ!片道二時間半の通勤

2年目
 偽りの経歴と他社の名刺
 自社に戻るは地獄のはじまり
 プロジェクトリーダとなる

3年目
 年長者たちの現実
 営業部への強制辞令
 覚えはじめたサボること

4年目
 おわりのはじまり
 転職活動
 クビ!
最後のクビ!は、実際の目次でも、太字で、大きなフォントで、びっくりマークがついている。

本書はいわゆる「人売り会社」といわれる形態の会社に入社してしまった著者の体験談だ。

「人売り会社」とはなんなのか。
ご存知ない他業種の方は、本書の内容が信じられないかもしれない。

「人売り会社」で働いている、働いていた、という方は
あるあるあるあるある、と楽しいひと時を過ごせるはずだ。

これから就職活動をされる学生の方は
こんな会社もあるのだ、ということを知っておくだけでも大きく違うだろう。


6年振りに本書を開いてみて、私自身、当時とはまた違った様々な感情が湧いてきた。
この6年で成長できたのかどうかはわからないが、経験を積めたことは確かなようだ。

過去に読んだ本を読み返してみるのも、また面白い。

なお、本書中に「人売り会社」という単語はでてこないことを著者のきたみりゅうじ氏に
ご迷惑を書けないよう付け加えておく。


ちなみに著者のきたみりゅうじ氏は現在、フリーのライター兼イラストレータ兼漫画家としてご活躍中で著書・連載を多数もたれている。
本書できたみ氏に興味をもたれた方は、氏のブログ『キタ印工房』を購読をオススメする。Twitterも@kitajirushiでされているようだ。

私も早速フォローさせていただいた。

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2011/02/05

すきま時間や寝る前のひと時に - [書評] - トンデモ偉人伝―天才編

トンデモ偉人伝―天才編
山口 智司
彩図社
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本書はダウンのポケットにでも忍ばせて、すきま時間にさっと読むのがいい。
寝室の枕元に置いておくのもいいだろう。
偉人ひとりにつき4ページから6ページの分量だ。

紹介されている偉人は下記の通り。
【発明家】   エジソン
【作曲家】   モーツァルト
【画家】    ゴッホ
【芸術家】   岡本太郎
【作曲家】   ベートーヴェン
【画家】    ピカソ
【数学者】   ピタゴラス
【数学者】   アインシュタイン
【発明家】   平賀源内
【哲学者】   ルソー
【禅僧】    一級宗純
【芸術家】   レオナルド・ダ・ヴィンチ
【哲学者】   ソクラテス
【美術評論家】 岡倉天心
【哲学者】   カント
【彫刻家】   ミケランジェロ
【発明家】   ノーベル
【思想家】   福沢諭吉
【画家】    ダリ
【哲学者】   ディオゲネス
【物理学者】  ニュートン
【喜劇俳優】  チャップリン
【経済学者】  マルクス
【生物学者】  南方熊楠
【劇作家】   ゲーテ
【映画監督】  ヒッチコック
【技士】    升田幸三
【哲学者】   ニーチェ
【オペラ作曲家】ロッシーニ
【細菌学者】  野口英世
【精神学者】  フロイト
【博物学者】  ダーウィン

偉人の偉業にスポットを当てた話も面白いが、偉人の人格にスポットを当てた話もまた面白い。
本書では偉人の知られざるエピソードが満載だ。
自分がこれまで交流してきた人と照らし合わせ、この人はあの人に似ていたのかな、などと思いを馳せるのは実に楽しい時間だ。

上述の通り、偉人ひとり当たりが簡潔にまとまっているので、好きなエピソードを繰り返し読むことができる。

本書の難を言えば、偉人のエピソードについての筆者のひとクチ感想がところどころで顔を出してしまうことだろうか。やや読書のリズムを害される。
巻末の参考文献を見ても本書の執筆に多くの時間を割いてるだけに、このひとクチ感想は蛇足だったのではないかと残念に思う。

ちなみに本書のプロモーション動画がYouTubeにあがっている。
筆者ではなく筆者の友人が作ったモノらしいが、くだらなくて笑える。

このような友人がいる筆者の人格も、偉人たちと同様にまた興味深い。



トンデモ偉人伝―天才編
山口 智司
彩図社
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2011/02/04

Not up in here!! - [英語][映画] - ハングオーバー

ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)
ワーナー・ホーム・ビデオ (2010-10-06)
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ハングオーバーを英語字幕で観てみたところ「Not up in here!!」という表現がでてきた。

ただ単純にその意味が知りたくてググってみて驚いた。

そのシーンを切り抜いた動画がYouTubeにアップされている。より長いバージョンはこちら
ここまではよくあることだ。これだけではない。




そのシーンを真似している女の子2人の動画もあがっている。




Facebookにファンページまである。
しかも1万人以上が「LIKE!」している。


なんなのだ。一体。
そんなに面白いシーンなのかこれは?という疑問が頭を駆け巡る。
海外在住経験が長く、この面白さを解説できる方がいらっしゃたら是非に教えていただきたいです。


ちなみになぜ英語字幕なぞで見ているかというと、次回海外旅行に行く時に、現地の人としっかりコミュニケーションとりたいから。要するに英語のお勉強だ。

なぜハングオーバーかと言うと、2010年一番面白かった映画だというのと、
ブロークンな表現が多そうだという理由。

英語字幕で映画を観てみたのは、今回が初めて。

新しいことを始めて、分からないことをグーグルで調べると、新しい発見がある。
自分の知っている事が、自分の知らないところで思わぬ注目を集めていることがある。

改めてインターネットって面白いな、と思った次第。
改めてインターネットに感動した次第。


さて、up in here は in here と同義らしいので、not up in hereは「ここから出て行け」といった意味になるのだろうか。

余談だが、up to hereは「ここまでだ」「我慢できない」といった意味になるらしい。
I'm up to here with him!で、「あいつには頭にきた!」となるそうだ。

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2011/02/03

求められるのは専門性ではない - [書評] - 未来のモノのデザイン

未来のモノのデザイン
ドナルド・A・ノーマン
新曜社
売り上げランキング: 133110

本書のいうデザインとは、芸術家が志向する類のデザインではない。
筆者は「デザイン」という言葉を「個人と社会のニーズを満たすための環境の周到な形成」と定義している。
やや難解な表現だが、世の中の役に立ってこそのデザインだということだ。

和訳物特有の若干の読みにくさはあるものの、全体として非常にロジカルな構成になっているため、段落の最初の一行を読んで、興味がなければ次の段落へ、という読み方で充分その内容を理解できる。

その本書の目次はこうだ。
第1章 用心深い車、口うるさいキッチン ――機械はいかに支配権を握るか
第2章 人間と機械の心理学
第3章 自然なインタラクション
第4章 機械のしもべ
第5章 自動化の役割
第6章 機械とコミュニケーションする
第7章 日常のモノの未来
追記  機械の言い分

筆者のドナルド・A・ノーマンは現在でこそ心理学、認知科学、認知心理科学を代表する学者だが
かつてはかのアップルコンピュータでユーザエクスペリエンスアーキテキトとして活躍した経歴をもつ。

アップル在籍時に従事したニュートンの開発のエピソードや、そこから得られた示唆も本書に記述されており、大変興味深い。

ニュートンは1993年にアップルコンピュータが発表した、タッチパネルによる手書き入力システムを売りにしたPDAだ。残念ながらこの製品は世間には浸透せず、1996年にパームが登場し市場を席巻するに伴い、1998年にその生産を終える。

大々的に宣伝した手書き入力システムの識字率が本当にひどかったようでギャリー・トルドーという漫画家に「ドォーンズベリー」という四コマ漫画で、その無様な有り様を風刺されたそうだ。
その漫画によると「Catching on?」と入力したところ、「Egg Freckles?」と認識されたようなので、お話にならないレベルだったのだろう。

このエピソードから筆者の示唆するところがユニークだ。
「Chatching on?」と書いて、「Egg freckles?」が出てきたら、(ユーザは)「馬鹿な機械だ」と冷笑してニュートンを責めるだろう。だが「hand」と書いて「nand」と出てきたら、「なるほど、hの最初の縦棒を充分長く書かなかったからnに見えたのだろう」とつぶやいて、(ユーザは)自分自身のせいだと思うだろう。
「Egg freckles?」のケースも「nand」のケースも、機械は正しい結果を返していない。
どちらのケースも悪いのは機械の側であるにも関わらず、実際にユーザが感じる責任の所在はまったく逆転してしまうのが面白い。

ここから筆者は機械が人に返すフィードバックの重要性を説いていく。


筆者の主眼は人と機械の対話にあるようだ。
そのための例として自動車が頻繁に登場する。

車の運転は、そのほとんどが退屈なルーチン作業だ。
その退屈さは高速道路での運転などではより顕著になる。
しかし随所で他者(他の自動車や歩行者)との関わりが存在し、人間の判断が必要となる。
そして、その判断を誤ると人命が失われるなど、重大な被害をもたらす。

つまり自動車とは自動化への強い欲求が存在し、人と機械の対話にあたる部分のデザインがとても重要なモノであるわけで、なるほど、適切な素材だと思う。

技術的な視点、また筆者の得意分野である心理学的な視点の両面から語られる問題提起や、あるべきデザインの姿は未来に興味を持つ方なら一読の価値はあるだろう。
デザインはあらゆる学問を横断する。(中略)デザイナーは、分野を超えてイノベーションできるジェネラリストでなければならない。(中略)たぶんデザインはビジネススクールに合っている。
中略部分は大学教育で培われる専門性とデザイナーという役割に求められる能力の齟齬を指摘している。
筆者は、体系化・厳密化を嫌う芸術家的なあり方も、測定できるもの(これらは本来本質的なものではない)に対してのみ厳密であろうとする技術者的なあり方も、未来のモノのデザインにはそぐわないと主張する。
おそらくその主張は正しい。
そして優れた「未来のモノのデザイナ」の育成方法はまだ確立されていないのだ。


話は変わる。

上述のようなデザイン論と合わせて、本書では未来の技術が数多く紹介されている。
この2つが本書の柱だ。
私にとっては夢物語な話も、筆者にとっては近いうちに実現可能なモノであることが面白い。

例えば3Dファックス。
すでに一部の大学・企業では運用されており、コストの問題が解決され一般家庭に普及する日もそう遠くないだろうということだ。
他にもロボットやスマートホーム、読み進めるにつれワクワクしてくる。

筆者は言う。
将来どうなるのかを知りたいなら、学会を常に見張ってるのがよい。
なるほど、と思う。


そして最後の章の「機械の言い分」、この章だけ他の章に比べややノリが違う。
本章のおかげで本書の読後感が爽やかなものになると言っていいほど痛快な話だ。
筆者は小説家としての才能もあるのではないか、と思ってしまう。

本章は、筆者が機械が本書について議論しているWebサイトを見つけてしまう話だ。
そのWebサイトには本書について「おかしな話だね」という評価が下されている。
筆者はその議論の場で最も尊敬されているアーカイバーと呼ばれている機械に接触を試みるのだが・・・

当然フィクションなのだがフィクションである旨は記載されていない。

そのWebサイトには筆者とアーカイバとの接触後に「機械と人間がコミュニケーションするための五つのルール」という機械側の視点でレポートがアップされる。
私は長らく業務用のWebアプリケーションを作成・納品する仕事に従事していたが、このレポートの「人間」の部分を「お客様」と読み換えるだけで、その仕事をしていく中で心掛けていた事と妙に合致してしまう。
同じような仕事をしてきた方、している方は、同じような感想を抱かれるのではないだろうか。

五つのルールをここに記載しようかとも思ったがややネタバレの感があるのでやめておく。
興味のある方はぜひ本書を手にとってもらいたい。


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